事業内容

【特別編】事業所の省エネ診断・上手な活用方法と受診のメリットは? KSVU省エネ研究会様

【特別編】事業所の省エネ診断・上手な活用方法と受診のメリットは?
NPO法人京都シニアベンチャークラブ連合会・省エネ研究会様

【はじめに】

中小企業さんが省エネを進める際にたいへん参考になる「省エネ診断」。
省エネの専門家が事業所を訪問し、ヒアリングや実際に電力測定をしてデータをまとめ、その事業所に適した省エネ方法を提案する事業です。

実働部隊である京都シニアベンチャークラブ連合会(KSVU)の省エネ研究会の方に、実施の流れや上手な活用方法についてお聞きしました。

【お話をして下さった方】

NPO法人京都シニアベンチャークラブ連合会・省エネ研究会
https://ksvu.or.jp/

  • 事務局長 岡田 知二 様
  • 省エネ研究会リーダー 中西 保之 様
  • 省エネ研究会 山 和孝 様

【取材日】

2022年12月15日(木)

【内容】

※ここで紹介する事業所の省エネ診断は、2022年度に京都府内で実施された「省エネ・節電・EMS診断事業」の内容となります。
https://chiemori.jp/smart/support/y2022/r4_ems.html

≪≪省エネ診断とは・メリットと活用方法≫≫

「省エネ診断の対象と種類を教えてください」

  • 診断事業の対象は京都府内の事業所(中小企業)です。大きい事業者は対象にならないことがあります。
  • 診断は2種類あります。「詳細診断」と「簡易診断」です。どちらも診断員が事業所を訪問し、インタビューを実施します。詳細診断は、多くの電力を消費する機器に実際に測定器を取り付け、1週間程度継続的にデータを計測します。詳細診断は診断員による結果報告と助言があります。簡易診断は、診断時に助言を行います。
  • 京都府の事業で、京都知恵産業創造の森が窓口を担当、診断員の派遣等は京都シニアベンチャークラブ連合会(以下、KSVU)が行っています。2022年度の場合、詳細診断は25件、簡易診断は5件の枠がありました。

以下は、詳細診断についての内容となります。

「どのような事業所さんからの申込が多いですか?」

  • 電気等エネルギーをたくさん使われる事業所さんで、「どうして電気代が高いのか」を把握したい企業さんからの申込があります。
  • 規模がある程度大きな事業所で「すでに色々と省エネ対策をしているつもりだが、他に何か省エネに繋がることはないか探したい」という方からの申込を受けることもあります。

「省エネ診断をおすすめしたい事業所さんは?」

  • なぜ光熱費が高いのかが把握できていない事業所さんにおすすめです。
  • 経営改善につながります

エネルギーの状態がわかるということは、「自社の状態がわかる」ということです。省エネ診断を受けると「こんな風にエネルギーを使っているのか」ということが分かってもらえます。
まだまだエネルギーの使用状況の把握ができていない会社さん、無関心な会社さんも多いです。
結果報告の際に、エネルギーのデータを見て喜ぶ経営者さんは、データの価値がわかっておられるので、診断を実施している側もうれしいです。

「上手な診断の使い方・ポイントはありますか?」

  • ①夏や冬など、エネルギー使用量の多い時期に測ってもらうのは効果的です。
  • ②見える化で、ロガー(電力測定器)を付けて測った数値を「表・グラフ」にします。
    そのことで、夜間や休日などの電力使用状況まで分かり、これまで気付かなかったことが分かることが多いです。

「詳細診断の流れを教えてください」

【申込】

京都知恵産業創造の森の窓口に申込をします。受理後、診断日等を調整します。

【現地訪問(1回目)・インタビュー&電力測定開始】

  • 主診断員と計測担当診断員の2名が事業所に伺います。
    インタビューを実施し、ロガー(電力測定器)を取り付けます。
    電力測定は、基本は1週間程度です(測定期間が終わったら、計測担当員が取り外しに伺います)。

【現地訪問(2回目)・報告&改善提案】

  • 1か月半~2か月ほどで報告書を作成します。その後、報告&助言のため事業所に伺います。
  • インタビューや提出いただいた資料、測定したデータをもとに、「データの見える化」をして報告します。エネルギーの使用状況を把握することができます。
  • データを見える化するメリット:データ(数字)だけがあってもそのままでは使えないことが多いです。分かりやすくすることにより価値がでます。また、データがあることで現状把握と問題点を客観的に共有することができます。
  • 結果をもとに改善提案を行います。具体的には事業所さんごとに内容は異なりますが、「すぐに取り組めること」「少しの初期投資でできること」「トータル的にメリットが出ること」を意識して提案することが多いです。

「省エネ診断でよく提案する内容があれば教えてください」

<1>照明のLED化

  • まだLED照明を使っておられない事業所さんにご提案することが多いです。数年で投資回収することができます。
  • 特に、水銀灯からLEDへの交換はお勧めです。「省エネ効果が高く、確実に電気代削減につながる」、「水銀灯はこまめな付け消しをしづらいが、LEDは可能」、「高所に設置されている場合、交換の手間も経費も減らすことができる」というメリットがあります。

<2>見える化で無駄がわかる

  • 夜間や休日等の無駄な稼働状況を発見することがあります。業務手順を見直していただくことで、業務に支障なく省エネにつなげることができます。
  • 見える化があるからこそ、機器更新等も具体的に提案することができるので、値打ちのある提案をすることができます。

<3>空調の提案

  • 古い空調機を使い続けておられるところが多いです。ただ、更新は費用がかかることが多いです。
  • すぐに更新できない場合でも、まずは現状を把握しておいていただくことで、後に補助金利用等でうまく更新をされるケースもあります。

<4>太陽光発電の設置

  • 建物等の条件が合う場合は、太陽光発電の設置をご提案することもあります。電力のピークカット、電気代削減、CO2排出量削減に確実に貢献できます。

<1><2>以外は、投資回収が10~15年ほど必要なものが多くなる傾向があります。

「現在の省エネ診断の体制について教えてください」

  • 省エネ診断士は15名います。
  • 調達できるロガー(電力測定機器)は約70台です。ひとつの事業所さんに40台ほどのロガーを一度に使ったこともあります。事業所さんに応じた診断をしています。
  • KSVUは、京都ならではの独自技術を持った企業や行政を退職した元気シニアのグループで構成された連合会です。企業や行政のあらゆる分野で経験を積んだ元気なシニアが、自らの生き甲斐づくりを通して、社会に貢献することを目的に活き活きと活動しています。
  • 具体的には、「1.企業支援」「2.教育支援」「3.省エネ支援」を実施しています。
  • 省エネ支援は、KSVUの「省エネ研究会」が実施しています。KSVUに参加された方で、現役時代に電気関係や設備関係の仕事をされてきた方にメンバー参加の声掛けをすることが多いです。
  • 年に1~2回の勉強会を実施しています。また、経験者と新しい方が一緒に現地審査に行くなど、ノウハウをシェアして活動しています。

「診断時の苦労話があったら教えてください」

  • 一番大変なのが、配電盤の場所がわかならい/どこに電気が行っているのか分からない会社さんが意外とあることです。改築や担当者さんが変わって分からなくなるなど、事情は様々です。確認するのは大変ですが、それが分かると会社さん側にも喜んでいただけます。停電時の対応など、配電盤のことは把握しておく必要がありますから。
  • 診断を受けていただくにあたって、事業所さんの電気使用量等を1年分書いていただくのが大変なところもあります。請求書などの伝票から拾い出していただく手間がどうしても発生します。しかし、それがないと把握ができません。
  • 最近は、手続きをすれば契約している電力会社のインターネット上で30分ごとの電気使用量データがわかることもありますが、その場合、今まで発行されていた紙での請求書が届かなくなることがあります。こちらとしては診断がしやすくなりますが、会計処理上の都合で紙の請求書を必要とされる事業所さんもあり、難しいなと感じています。
  • ロガー(電力測定器)のデータの処理が大変です。見やすく分かりやすいグラフにするために、エクセル等で作業をします。現在は、グラフ作成専用ソフトを利用したり、気象庁データを取り込んだりすることで、だいぶ効率的になってきています。

≪≪2022年度の状況について≫≫

「2022年度の状況はいかがですか?」

  • 光熱費値上がりの影響が大きく、省エネ診断の申込件数も多かったです。全体的に前倒しで実施しました。京都府でも、補正予算を組んで省エネ診断事業の件数を増やしています(KSVU以外の事業者が診断を実施しているものもあります)。
  • 中小事業者さんの状況ですが、電気の契約を新電力に切り替えされたところは大変だと聞いています。ただ、関西電力さんでも燃料調整費は上がってしまっています。いまの状況で契約の切り替えをすると、単価が上がるケースが多いようで厳しいようです。これでも関西電力管内は、他の地域にくらべてまだ状況がマシのようですね。

「今後について」

今後は、カーボンプライシング(炭素課金)なども出てきて、事業所のエネルギー管理はより重要になってくるのではないかと感じています。カーボンニュートラルへの動き、エネルギー危機、カーボンプライシング。世の中の動きが加速するなか、今後も京都の中小企業さんをしっかり支援していきたいと思っています。

≪参考資料:京都知恵産業創造の森≫

2021年度 省エネ・節電・EMS 事例集
https://chiemori.jp/smart/cms/wp-content/uploads/2022/04/R3_03ecojireisyu.pdf

【おわりに】

たくさんの事業所さんへの長年の診断経験があるからこそのノウハウと知識。現役時代の経験も活かしながら、中小企業さんの立場に立ったアドバイスを受けることができる省エネ診断。
多くの事業所さんにご活用いただきたいお勧めの事業です。

(以上)

資料ダウンロード

京都の中小企業~省エネ・再エネ・環境経営の取組事例(2023年2月発行)画像