事業内容

推進員活躍中~ 市民のチカラで増やす「おひさま発電所」 設置後に広がるエコな取組 深川佳子さん、森由美さん(きょうとグリーンファンド)~

市民の寄付で太陽光発電を設置

2024年、京都市内では市民の寄付で2つの園に太陽光発電が設置されました。下鴨幼稚園と吉祥院こども園です。

 
おひさま発電所26号機 https://www.kyoto-gf.org/plant/no26.html
おひさま発電所27号機 https://www.kyoto-gf.org/plant/no27.html

この「おひさま発電所」の取り組みを支えているのは、「認定NPO法人きょうとグリーンファンド」。
https://www.kyoto-gf.org/
今回は、きょうとグリーンファンドのスタッフとして活躍している推進員:深川佳子さん・森由美さんの活動について紹介します。

左:深川佳子さん  右:森由美さん

認定NPO法人 きょうとグリーンファンドの活動

きょうとグリーンファンドは2000年に設立されました。FIT制度(再エネの固定価格買取制度)が無かった時代から、市民の寄付を集めて保育園などの施設に太陽光発電を設置されてきました。市民との共同で自然エネルギーを増やす取組として全国的にも注目されながら、これまで27か所に「おひさま発電所」を増やし、CO2削減を進めてこられました。


きょうとグリーンファンドホームページより https://www.kyoto-gf.org/index.html

「おひさま発電所」の取り組みは、太陽光発電を設置して終わりではありません。
設置された施設は、それぞれが工夫をこらしながら、日常生活でのエコの取り組みや、子どもへの環境教育、地域の人々を巻き込んだイベントなどを展開して、地域のエコの拠点となっています。また、その活動をきょうとグリーンファンドが支えています。

きょうとグリーンファンドの環境学習プログラム

深川さんが主に担当しているのは、子どもたちへの環境学習プログラムの事業です。
森さんは会計を担当しながら、深川さんの環境学習のサポートもされています。

提供しているプログラムは、子ども達への環境腹話術や自然観察会、園の職員(先生)を対象にした研修(災害時の太陽光発電の自立運転や、教材作り等)、雨水タンクの設置や省エネアドバイス、エコイベントのお手伝いなど、多岐にわたります。


プログラムの一例 環境腹話術(https://www.kyoto-gf.org/study/index.html

例えば毎年「環境腹話術」を実施している園では、前年のことを覚えている子どもたちが、腹話術を見ながら「CO2が、ファン、ファン、ファ~ン」「つけっぱなしは、もったいない!」と一緒になって言ってくれることもあるそうです。
また、先生たちも、園での普段の生活の中でごみを減らしたり省エネになるようにと工夫をしたり、園のおまつりなどのイベントがエコになるように取り組んでいるとのこと。
おひさま発電所ができることにより、エコな取組の輪がひろがり、さらにCO2削減につながっています。

深川さんに工夫していることなどを伺いました。
「事前にアンケートをしてから環境腹話術を実施しています。それぞれの園で困っていることをお聞きするんです。例えばアンケートに、子どもがお水を出しっぱなしにしている事が気になるとか、紙の無駄遣いをへらしたいとか、食べ残しが気になるなどが書いてあれば、環境腹話術の講師の畠山さんにそのことを取り入れてお話してもらっていて、先生方からも喜んでいただいています。」
ただ決められたプログラムをするのではなく、丁寧にコミュニケーションをとりながら、園や子ども達に合わせた形で実施されているところがとてもステキです。

取材当日は、ちょうど印刷物を折ってミニ冊子を作る作業をされていました。
「園の先生から、腹話術で知ったエコなことをお家の人に話せるように配布資料があったらいいのにと提案があり、今年度からミニ冊子を配ることにしたんです。」
子どもたち、喜んでくれるかな…と言いながら、深川さんは手際よくご準備されていました。

ミニ冊子

先生の研修プログラムに「すごろくづくりワークショップ」があります。
子どもたちが遊べる大型すごろくを、先生たちが協力して、マス目の内容を相談しながら作ります。子ども達にもわかりやすい言葉で、エコにつながる行動やメッセージを入れていきます。

ワークショップをして新しいすごろくが完成したら、そのまま園で活用することができます。また、きょうとグリーンファンドから他の園に貸出もされています。年1回、別のすごろくに交換をする園もあるそうです。

「だめもと」で始めた活動

深川さんが活動を始めたきっかけは、京都市伏見区にある環境学習施設・京エコロジーセンターの環境ボランティア「エコメイト」の募集を見つけたことだそうです。

「実は最初は、ごみを減らすのは分かるけど温暖化問題とかはあまり知らなくて、難しいことがちゃんと分かるかなあと不安でした。あかんかったら辞めたらいいか、ダメ元で、と思って始めたんです。」

エコメイトの活動は、学生さんから年配の方まで様々な人が参加されていて、「環境を良くしたい」「何かをやろう」という気持ちを持った方が多く、楽しくて、学生時代に戻った気分だったとか。
深川さんは展示チームで省エネの展示を考えたり、ごみ分けゲームを開発したり、省エネ相談所のイベントでアドバイスをしたりと、エコセンの中で様々な活動をされていました。

おひさま発電を設置した保育園の夏祭りイベントで省エネ相談所のお手伝いをした時に、きょうとグリーンファンドの事務局長である大西さんから「きょうとグリーンファンドのお手伝いしませんか?」と誘われたそうです。

「ごみのこと、省エネのこと、グリーンコンシューマーのこと、いろいろとエコセンでやってきました。こつこつ取り組みをすることも必要だけど、温暖化防止を進めるには、エネルギー転換のこと、太陽光発電を増やしていく活動がいいなあと思い、そういえばボランティア研修で市民の取り組みによって自然エネルギーを増やす市民共同発電所の話を聞いたことがある事を思い出しました。それから、おひさま発電所1号の法然院は、実は私の地元でもあるので縁を感じて活動に参加することにしました。」

それからきょうとグリーンファンドで寄付の整理や領収書送付などの事務をしたり、子どもたちへの環境学習の部分をお手伝いするようになったそうです。

研修が楽しくて登録

森さんにもきっかけをお聞きしました。
「ちょっと無駄遣いとかしてしまうような、ふつうの住民でした(笑)。だいぶ前に京都市がごみ袋を有料化しましたよね。その時に断捨離をしようと思って。そうしたら、バブルの頃に海外旅行をして民芸品をおみやげで買ったのに配りそびれていたものがあったり、バーゲンでせっかく買った服もあまり着ていないものがあったり。そんな感じで、特に環境に関心が高かったわけではないんです。」

たまたま新聞の折り込みチラシで環境ボランティア「エコメイト」募集を見つけて、研修を受けた森さん。
「研修はいろんな方がいて楽しかったので、エコメイトにも登録しました。ただ、当初は仕事をしていたので平日の昼間の活動ができなかったんです。そこで夜に活動するボード紙芝居チームに入ったり、エコクリスマス会などのイベント企画に参加したりしていました。
活動する中で、たとえば石鹸と洗剤との違いとか、環境の負荷のこととか、先輩方に色々と教えてもらいました。」

きょうとグリーンファンドで経理をされていた方が辞められることになったときに、森さんにお手伝いのお声がかかったそうです。
「認定NPOなので、会計処理はきちんとする必要があります。活動計算書(※)なども、税理士さんに相談をしながら作っています。」
しっかりした会計や事務の作業に、きょうとグリーンファンドの活動が支えられています。

(※活動計算書…営利企業の損益計算書に相当)

森さんは会計のほかに、環境学習、京都市上鳥羽北部いきいき市民活動センター(おひさま発電を設置済)の活動サポートをされています。
上鳥羽北部いきセンの向いにある児童館の子どもたちを巻き込んだエコの取り組みをしたり、ごみ分別を徹底したエコな夏まつりをしたり。自然観察会など地域の人々を巻き込んだ取り組みも展開されています。

子どもたちの未来のために

環境学習プログラムなどを実施していて大変なことや苦労されることがないかお聞きしたところ、お二人からは「あまり……、講師の先生も来てくださるので、大変という感じではないです」とのお返事が。

おひさま発電所ができることで、そのあと取り組みがいろいろと進んでいくことを、お二人は実感されています。
「子ども達が“お水もったいない”と言ってくれたり、ちっちゃい服をどうしますかと聞いたら“赤ちゃんのいる人にあげる”と言ってくれたり。それから、笑顔で“ありがとう!”と言ってくれます」
「自然観察会で、最初は子ども達の様子がすこし固い感じだったのが、時間が経つにつれてのびのびと感じが変わってくることがあったり。」
「エコの日を決める園もあるし、子ども達がごみ拾いをするところも。雨水タンクや生ごみ処理機を導入するところもあります。」
子どもたちの未来のために、これからもおひさま発電所を増やしていきたいですね。

現在、施設を募集中!

きょうとグリーンファンドさんを中心に、様々な市民団体と京都府温暖化防止センターも参加して「市民再エネプロジェクトin京都」として設置施設を募集しています。


https://shiminsaiene.org/

おひさま発電所は、市民の寄付のチカラを最大限に活かして、地域の再エネを増やし、防災力も高めて、市民のエコ活動の拠点にもなる取り組みです。みなさんの地域でご興味のある施設をご紹介ください。

おひさま発電は、幼稚園やこども園、市民活動センターだけでなく、福祉作業所などにも設置されています。
いま注目されているのは高齢者福祉施設や福祉避難所。昼間にエネルギーを使う施設に太陽光発電設備を入れることで電気代削減のメリットが高くなります。停電時に太陽光発電の自立運転ができると防災力もアップしますし、最近では蓄電池とセットで設置することがスタンダードに。

子ども達の未来のために、市民共同発電「おひさま発電所」の取り組みが京都でさらに広がっていくように、ぜひ応援してください。

市民再エネプロジェクトin京都 みんなで作る「おひさま発電所×防災」設置施設募集!
https://shiminsaiene.org/img/pdf/saiene.pdf

<以上>