推進員・西村美紀さん 「もったいない」から「効率的」に!
京都府内ではたくさんの地球温暖化防止活動推進員が活躍中です。
今回は、京田辺市の推進員・西村美紀さんにインタビューしました。
昼間の太陽光発電を効率的に活用
太陽光発電を設置して10年経つと、FIT(固定価格買取制度)の期間が終わり、余剰発電の買取価格が下がります。
もし買い取り価格が前の5分の1になったとしたら、あなたならどうしますか?
第5期から推進員をしている西村美紀さん。山城めぐりが好きで、山を登っている最中に熊に遭遇したこともあるなど、行動力もバツグン。さらに幅広い知識をお持ちで、どんなテーマでも話が弾みます。
以前お勤めだった企業では製造技術(生産技術研究)のお仕事をされていたそうです。
「製造過程の中で、希少金属を丸い形にするのですが、当初はシート状にして、丸い形にくり抜いていました。そうすると使われない部分が出てしまう。歩留まり(※原材料がどの程度最終製品になったかを示す指標)は55~60%ほど。もったいない状態でした」
西村さんは効率的になるように生産工程を変更されました。
丸い形にくり抜くのではなく、シートを正方形に切り、それを上からプレスする形に改善されたそうです。
「四角にした金属を上から押すと、丸くなるんです。四角いお餅を上から押しつぶすことを想像すると、
四角のままの形で広がるのではなく、角ではないまっすぐの辺の部分がより広がって丸くなります。抵抗率の違いでしょうね、四角の金属を丸くすることができるんです」
この生産改革で材料の歩留まりは100%に。希少金属のロスによる経済損出も防ぐことができて、西村さんは会社から表彰されたそうです。
そんな西村さんですが、約14年前に京田辺市に新築を建てて太陽光発電を設置されました。設置当時の余剰電力の買取価格は1kWhあたり42円。それが10年経ち、FITの期間が終了した後は8円(関西電力の場合)に。5分の1になってしまいました。どう対応されたのでしょうか。
「それまでは、できるだけ日中は電気を使わないようにして余剰電力を売るというのが経済的でした。でも、現在は発電した電気を売るよりも自宅で使った方が経済的。どうやったら効率的に太陽光発電を活用できるかを考えて、晴れの日は昼間にエコキュート(※1)を動かしてお湯を作ることにしました」
(※1)エコキュート…電気を使い、ヒートポンプという仕組みでお湯を沸かす高効率給湯器。
昼間にお湯をつくるメリットはたくさんあります。
- 『昼に安く電気を売って、夜に高い電気を買ってお湯を作る』よりも、『昼の太陽光の電気でお湯を作って、夜の電気を買わない』ほうが、電気代がお得
- 夜よりも昼間のほうが外気温は高いので、ヒートポンプの効率がさらに良くなり、短い時間・少ない電気でお湯を作ることができる
- お湯を作る電気は、CO2を出さない再エネ(太陽光発電)
- 前の日の夜にお湯を作って次の日の夕方から夜にお風呂で使うことを考えると、お昼にお湯を作ってその日の夜にお風呂で使う方が、保温をする時間も短くエネルギーも少なくて済む
もともとは夜にお湯を沸かす設定になっているエコキュート。時間設定を変更してお昼に沸かす方法もあるそうですが、西村さんは手動でされています。
「最近は家にいることも多いので、天気を見て、晴れていたらスイッチを押して沸かしています。昼間に沸かすことによる効果もあります」
【昼間のエコキュート稼働による電気使用量・料金の変化】
最近発売されているエコキュートには、最初から昼間の時間にお湯を沸かす設定のある「おひさまエコキュート」も増えてきています。
ちょっと前のエコキュートでも、西村さんのように手動にしたり、時間設定を変えることで昼間にお湯を沸かすことができるかもしれません(※2)。
また、エコキュートがない場合でも、特に太陽光発電を付けておられるご家庭は、昼間に電気を使うメリットがあるので、ぜひ意識してみてください。
(※2)西村さんの場合は、エコモードでは昼間の焚き上げをすることができず、たっぷりモードにして手動でON-OFFをするとできたそうです。エコキュートの機種によって違うので試される方はそれぞれご確認ください。また、電気料金のプランによって、曇りの日に(太陽光があまり発電していないときに)昼間にお湯を沸かすと逆に割高になる可能性もありますので、料金プランにもご注意ください。
ご自宅での取組と、うちエコ診断士の活動
太陽光発電とエコキュート以外にも、西村さんのご自宅は効率的な工夫がたくさんあります。
トイレの水は、お風呂のあまり湯や雨水を利用できるようになっています。
「特注です。設計時に工務店さんに注文しました。お風呂は2階に設置をして、雨水タンクも70リットルのものが2つ設置してあり、2階からの水圧でトイレが流れます。洗濯にも利用しています。これで水の使用量は3分の1ぐらいになりました」
他にも、緑のカーテンとして家の東側に桑の木があります。夏は茂って日差しをさえぎり、冬は落葉するので日光を取り入れることができます。南側にはもみじの木が、夏場は緑のバリアを作ります。
「もみじのお陰で直接光はもとより、地面からの照り返しが無くなったのが良かったです」
生ごみは2つのコンポストを活用されています。発酵するまで半年かかるので、ダブルコンポストは使い勝手がとても良いそうです。堆肥にして活用されています。
「自宅で、窓をアルミ枠にしてしまったのは失敗でした。当時、樹脂の枠も出てきてはいたのですが、日差しで劣化しないかなど少し心配だったんです。それで最近、二重窓にしました。大きな窓は工務店さんにお願いして補助金を活用。小さな窓はDIYで、自分で設置しました」
もともと家の断熱はしっかりされていたとのことですが、二重窓にした効果は?
「結露に悩んでいて、特にお風呂場がひどかったのですが、結露は無くなりました。
室温は15℃ぐらいだったところが17℃ぐらいになり、暖房を入れなくても過ごせる時間が増えました。特にトイレは暖かくなり、効果を感じましたね」
ご自宅での取組や、幅広い知識を活かして、うちエコ診断士としても活躍されています。
特にコロナ前は、対面診断で多くの方に家庭の省エネアドバイスをしていただきました。
「イベントなどで診断をしていると、お客さんのやる気度合も色々です。そこまで熱心でない方も中にはいらっしゃいますよね。そんな方に長々と話をしても効果は少ないので、その方の関心に合わせた手軽にできる取り組みを、短時間にポイントを絞ってお伝えするようにしています。逆に、熱心な方には時間をしっかりとって丁寧にお伝えしています」
お客さんにとっても効率的で有効な時間になるように、という西村さんの心遣いを感じます。
市民委員として
西村さんは京田辺市の環境基本計画推進委員会の市民委員を3期6年ほどされています。
京都府の環境審議会の公募委員を務められたこともあります。どちらも行政の広報誌で見つけて応募されたそうです。
「京都府の審議会は、いくつかの部会に分かれて議論します。府の部会では情報量が多く幅広いなと感じました。京田辺市の委員会では、地に足がついた話が多いですね。最近の京田辺市では、市民を巻き込んだ活動に力をいれています。一方で市民活動は継続が難しい点もあります」
行政の委員会は専門家の方も委員としておられますが、市民の声もしっかり行政の施策に反映していくことも大切です。
「バランス感覚がある人は、市民委員に向いていると思います。色々な情報も知る事ができますよ」。
いま西村さんが注目していることを伺いました。
「最近、竹の活用に興味があります。竹林整備はあちこちの地域で課題になっています。
効率的なのは、タケノコとして頂くことだと思っています。メンマにする方法もあるけど、ちょっと手間がかかる。そこで、所有者の方に許可をいただいて山へ入り、タケノコを掘って友人知人20軒ぐらいに配りました。たくさん掘れたときは、山からタケノコを降ろしてくるのも大変ですけれど」。
『もったいない』を『効率的』に変えていく西村さんの取組は、市民レベルでのCO2削減の広がりにつながっています。











