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特集 久野課長に聞く 京都府「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ」宣言

京都府「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ」宣言

久野課長
久野明志さん

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2020年2月11日に開催された第11回「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式の挨拶の中で、西脇京都府知事が「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」を目指すと宣言されました。いよいよ京都でも、「ゼロ」を目標に掲げた対策がスタートします。そこで、この宣言に込められた思いについて、京都府 府民環境部 地球温暖化対策課長の久野明志さんにお話を伺いました。

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■今回の「ゼロ宣言」の背景を教えて下さい

背景にあるのは、もちろん気候変動の進行です。
日本でも異常気象が頻発しています。そもそも「異常気象」は30年に1回程度という極端に偏った現象を指しますから、「毎年、異常気象が頻発」という表現は、本来は矛盾しているはずですよね。それほど気候変動が進んでしまっているという危機感があります。
いわゆる「スーパー台風」が京都を襲えば、府民の多くの人命と財産が失われることになりかねません。将来世代は、今以上に大きなリスクを抱えることになります。気候変動対策は、命や人権を守るための最優先課題になっていると認識しています。

■今回の「地球環境の殿堂」のテーマはぴったりでしたね

KYOTO地球環境の殿堂
ゼロ宣言する西脇京都府知事

はい。今回のテーマは「気候正義」でした。このテーマに長く取り組んで来られたメアリー・ロビンソン氏とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が新たに殿堂入りし、また、未来を担う高校生が登壇して気候変動対策を訴えました。知事が「2050年実質ゼロ宣言」をするにふさわしい場であったと思います。

■知事は「これだけは覚えてください!」と宣言を繰り返されましたよね

宣言のとき、最初は会場から反応がなくて「あれっ!?」と思いましたが、知事が「もう一度」と宣言を繰り返して、会場いっぱいに拍手が広がったときには、知事の思いが皆さんに伝わったことにホッとしました。同時に、「今日が新たなスタートだな」と背筋が伸びる思いでもありました。

■この宣言は西脇知事ご自身の判断だったのでしょうかゼロ表明

はい。決断をしたのは知事です。
ただ、もちろん一人だけで突然決めたわけではありません。IPCCの1.5℃報告書が出されて「2050年までの実質ゼロ」の必要性が科学的に示され、京都府環境審議会でも、現状の「2050年80%削減」では不十分で目標を上乗せする必要があることが議論されてきました。
こうした多くの知見のもとに、最終的には知事自身の判断として「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」宣言が出されることになりました。

■2050年まで30年しかありません

そのとおりです。2050年実質ゼロを実現できるかどうかは、今後10年が勝負だと言われています。また、早く対策をしなければ、取り返しのつかない状況になる可能性も指摘されています。
京都府では、改定する京都府地球温暖化対策条例において「10年後の2030年までに2013年度比で40%以上削減」という目標を掲げるべく調整を行っています。もちろん、この数字では不十分というご批判もあるかもしれません。ただし、現実問題としては、極めて厳しい目標であり、まずはその達成に向けて、効果的な施策を実施できるよう、取組の見直しや強化等について議論しています。

■多くの府民の協働が必要ですね

はい。これは行政だけで解決できる問題ではありません。sdgs
京都府は、2020年度に地球温暖化対策条例・再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例及び地球温暖化対策計画を相次いで改定し、気候変動対策を加速させていくつもりです。条例や計画への意見募集も行いますので、ぜひ積極的なご提案をお願いいたします。
IPCCの1.5℃特別報告書は、「排出量削減等の気候変動対策がSDGs(持続可能な開発目標)の達成に繋がる」」ことを示しています。京都府も、皆様とともに、環境・経済・社会が統合的に向上する持続可能な社会を作っていきたいと考えています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、大変な状況になってしまっており、まずは府民の皆様の生活基盤が維持されることが最優先課題です。ただ、並行して、気候変動対策も進めていかなければならないと思っています。
ぜひ一緒に取り組んでいただきますようお願いいたします。

■ありがとうございました