事業内容

インタビュー「食べ物を通じて、自然との関わりを紡ぐ」

梅本さん
梅本修さん

「食べ物を通じて、自然との関わりを紡ぐ」

~第9期推進員 府内各地で活躍中!~ 今回は梅本修さん

NPO法人エコネット丹後のプロジェクトの一つ「未来の食卓研究会」を主宰され、小学校等での出前食育授業も精力的に実施されている梅本さん。京丹後市で有機農業を営む農家さんですが、もともとは別の地域で別のお仕事をされていたのだとか。なぜこのような活動をすることになったのでしょう。お話をお聞きしました。

 

 

 


■自分に嘘はつけないと農家へ

梅本さんは、大学の農学部を卒業した後、食品会社で営業をされていたのだとか。転機が訪れたのは28歳の時、お子さんの出生です。

「自分の子が大きくなった時、自分が販売しているインスタント食品を食べさせたいだろうかと、疑問に思ったんですよ。いや、違うなぁと。でも他の子たちには、仕事として勧めているわけですよね。ギャップを感じました。だから、すぱっと仕事をやめたんです。自分に嘘はつけませんでした」と話す梅本さん。「一生続けられる仕事を」と、もともと関心があった農業の道に進みます。

とうもろこし畑
徒歩5分圏内の畑からCafeに野菜が届きます

弥栄町(当時)の新規就農入植者支援制度を活用して農業を開始し、「自分の子どもも他の家の子どもも一緒、一番良い野菜を食べてもらいたい」と有機農業を開始し、学校給食への提供を開始しました。地域の一次産業の担い手の方々と連携して、学校給食での地元産食材利用を推進し、小中学校と連携した食育にも継続的に取り組んできました。取組開始から12年が経過し、当初小中学生だった子どもたちがお父さんお母さんになって「梅本さんの野菜が食べたい。子どもに食べさせたい」と言ってくれるようになったそうです。

「都会に出ていった子たちが帰ってこないのは、きっと地元に誇りを持てないからだと思うのです。勉強と部活に必死で、残念ながら京丹後の良さを知る機会が少ないのです。都会に行くと、都会なりの魅力を感じるかも知れません。でも、高校生までに地元の食べ物の美味しさを知っていれば、その舌にはずっと残っています。地元に帰りたいなと思うきっかけの一つが、食べ物だと私は思うんです。実際、京丹後に戻ってきて、栄養士になったり、農業に携わったりする子たちが出てきているんですよ」。梅本さんが見据えるのは、地元の未来を担う「人」です。

■「カフェ」での新たな挑戦

Organic Cafe てんとうむしばたけ外観
Organic Cafe てんとうむしばたけ外観

梅本さんは、2020年5月2日、畑の近くに「Organic Cafe てんとうむしばたけ 」をオープンさせました(このインタビューも、カフェの屋外スペースをお借りして実施させていただきました)。なぜカフェという挑戦をされたのでしょう。梅本さんは、こう語ってくださいました。

Cafe 店内
Cafe 店内

「人間の体は、食べたものだけでできています。自然の力、太陽の恵みでできているんです。でも、最近、その感覚が失われてきているのではないでしょうか。添加物も増えています、フードマイレージCO2が大きい輸入食品も。ひょっとすると、フェアトレードではなく産地の人たちに負担をかけているものを食べているかもしれません。だから、食を通じて、自分自身と自然とのつながりを感じられる場を作りたかったんです」。確かに、このカフェなら、山・川・畑のつながりを体全体で感じながら食事を楽しめます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当初から予定通り営業できたわけではなく、テイクアウトだけの開始でしたが、口コミでお客さんが増えているとのこと。
インタビューの日も、平日にも関わらず多くのお客さんが訪れていました。

自家製ピクルス入りの野菜サンドイッチ
自家製ピクルス入りの野菜サンドイッチ

(インタビューアーも、自家製ピクルス入りの野菜サンドイッチ、好きな野菜を選んでその場で作ってもらえるスムージー、鹿肉のしぐれ煮を使ったお料理などを、テラス席で美味しくいただきました!)

好きな野菜で作ってもらえるスムージー
好きな野菜で作ってもらえるスムージー

■エコネット丹後での「食」を通じた活動

梅本さんが地球環境に強く関心を持ったのは、大学生の時。真冬の日本アルプスでのバックカントリースキーの最中に雨が降り、「なんだこれは!」とショックを受けたそうです。社会人になったころ、『Newton 別冊 地球クライシス』を読んで衝撃を受け、食品会社に勤めている最中も、できる限り自動車を使わず自転車を使うなどの取組を始めたとのこと。そして、京丹後に移り住んだ後に、エコネット丹後の前身である「丹後の自然を守る会 京丹後市部」に出会い、活動を開始しました。食に関する経験や知識を活かして「未来の食卓研究会」を立ち上げて活動を続けています。

■体を大事にすることと、地球を大事にすることは同じ

最後に、読者の方々へのメッセージをお聞きすると、こう答えてくださいました。

「自然と向き合う仕事をしていると、気候変動を肌で感じます。ぜひ、食べ物を通じて、自然との関わりを感じてください。自分と自然とがつながっていることを知れば、その感覚は地球環境保全にもつながります。気候変動は自分の体を蝕む、そう思うと、他人事ではないのです。化石燃料の燃焼削減、プラスチック製品の削減、そして自分の体を良くすることは、すべてつながっています」。

Organic Cafe てんとうむしばたけ https://tentoumushi-batake.com