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【特集】家族の健康維持と光熱費削減を実現する手軽な手法とは

家族の健康維持と光熱費削減を実現する手軽な手法とは

「家族の健康を守ったうえで、生活の質をも上げる省エネ」について、住宅における健康と省エネがご専門の株式会社住宅みちしるべ 一級建築士事務所(https://www.j-michishirube.com/)・近畿大学建築学部非常勤講師・関西大学環境都市工学部非常勤講師の太田周彰氏(https://researchmap.jp/otan)にお聞きしました。

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我々の⽣活において、省エネと言うと従来は「電気をこまめに消す」とか「無駄にお湯を使わない」といった、どちらかというと住まい⼿の努⼒を必要とする省エネのイメージがありました。
しかし、このような住まい⼿の⽣活様式に頼った省エネ⼿法は、⼀部の意識の高い住まい⼿にしか根付かず、誰もが積極的に⾏いたいとは思えない側⾯があります。
そこで、ここでは⽐較的⼿軽で家族の健康維持に繋がり、光熱費削減効果も高い⼿法をご紹介します。

<⽇本では盲点となっている、家庭における健康維持の⽅法>

「⽇本は先進国なので、このデータは信⽤できない!」
「これはどこかの途上国のデータなのでは?」

そう⾔って海外の研究者が驚く調査結果が、2020年11⽉に⽇本の研究者チームから発表されました。どのような調査結果だったのかというと、⽇本全国2,000軒を調査した結果、WHO(世界保健機関)が勧告する寒い時期に住宅が満たしておくべき室温18℃を上回っている住宅が、たったの1割であるという結果だったのです。
WHOでは⽣活において健康を維持するためには18℃以上の室温とすることを推奨しています。このような寒い時期の家の中の適切な温度については、WHOだけでなく英国保健省においても「Cold Weather Plan for England(英国⺠の健康を守る防寒計画)」という枠組みにおいて、暖房室温を最低18℃とし、推奨を21℃以上としています。このようにヨーロッパでは「住まいが⼀定以上の室温に保たれることが⼈間としての尊厳ある⽣活をするための権利である」と考えられていて、この思想に基づく法律が沢⼭あります。アメリカにおいても同じ思想の法令を出している州が多数あり、⽇本はこの点において⼤きく遅れていると⾔わざるを得ない状況なのです。
つまり、⽇本⼈は寒い家に住んでいるために健康不安にさらされていると⾔えるのです。事実、海外に⽐べて⽇本では冬場になると死者数が増えることが統計的に⽰されていて、中でも寒さに影響して発症するとされる、ヒートショック等を起因とした循環器系疾患が多くなります。


<⽇本で寒い家が多い理由>

それでは、何故⽇本においては寒い家が多いのでしょうか?元々⽇本においては「暖房」という⽂化がありませんでした。⽇本は囲炉裏や焚⽕に代表されるように採暖(さいだん)といって空間を暖める意識が薄く、⼈が暖を採るための採暖⽂化しか無かったのです。明治に⼊って、⻄洋⽂化が⼊って来るとともに空間を暖める「暖房」という概念が徐々に浸透しはじめ、今では病院やショッピングモールなどの⼤型施設では、⼈の有無に関わらず空間を暖める暖房⽅式が増えていきました。しかし、住宅においては相変わらず「採暖」の⽂化が残っており、⽇本⼈にとって⼈のいない空間を暖めることはもったいないという意識が芽⽣えていきました。
こうして、⽇本においては空間を暖める事の重要性が認識されることなく、現在に⾄っています。ですので、⽇本の建築基準法においては未だに断熱をする義務が無く(2025 年から義務化予定です)、⽇本の住宅は暖房器具で暖めても⼗分に暖めることが出来ない建物になっているのです。
現状の⽇本の住宅のほとんどは「ザルに⽔を溜めようとする」状況と全く同じです。エアコンで暖房しようとしても全然暖まらないという経験があったり、話を聞いたことがありませんか?⽇本の住宅は断熱が全くない、またはあっても乏しい場合がほとんどで、折⾓暖めようとエアコンを稼働させても、その暖かい空気は外へ逃げて⾏ってしまいます。このザル状態の住宅が沢⼭あるせいで、⽇本⼈は健康を損ない、また省エネに貢献出来ない状態に陥っているのです。
このザル状態の⽇本の住宅を改善するためにはどのようにすれば良いでしょうか?

<家族の健康維持と光熱費削減に伴う省エネを実現する割と⼿軽な⼿法>

⽇本の住宅は建物の古さによっても、ザルの程度が変わります。そして、今回紹介する⼿法は、床や壁、天井などに全く断熱材が⼊っていない住宅には当てはまりません。昭和55年(1980年)より前に建てられた住宅は、断熱材が全く⼊っていない場合がほとんどで、まずは床、壁、天井に断熱することが効果的です。世の中全体の3割の住宅がこれに当てはまります。しかし、昭和55年よりも後の住宅であれば、⼿軽な改善の可能性があります。この時期になると、断熱材を導⼊している建物が増えてきます。法律の改定によって、断熱材を⼊れる事が義務ではないものの、質の良い住宅の基準とされたためです。ですので、当時の⼤⼿企業が⼿掛けた住宅などでは、⾼確率で断熱材が⼊っています。更に2000年以降の住宅では、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が定められたおかげで、断熱材を採⽤する建物が増えるようになっています。この時期の住宅では、床や壁、天井などに断熱材が⼊っている可能性があるので、まずは断熱材の有無を確認してみて下さい。⼿元に設計図が残っている場合は、設計図に記載されていれば恐らく⼊っているでしょう。無い場合でも、天井裏や床下を覗いてみて確認する⽅法もあります。場合によっては、⼯務店や建築⼠などの専⾨家にみて貰うことも良いでしょう。

もし、少しでも断熱材が⼊っていることが確認出来れば、「家族の健康維持と光熱費削減に伴う省エネを実現する割と⼿軽な⼿法」のチャンスです。このような住宅の場合、家の中から逃げていく熱の多くは「窓」などの開⼝部からとなります。例えば、窓からの隙間⾵を感じていたり、結露が凄いなどと感じているようであれば効果が望めるでしょう。
同じザルでも、窓からの熱の出⼊りは⽐較的⼿軽に埋めることが出来ます。その⼿法が、窓断熱リフォームです。この場合、住まいながらにしてリフォームすることが出来ますし、期間も1⽇〜数⽇程度と⼯事の負担がかなり少なくなります。また、価格としても建築⼯事の割にはそれほど⾼く無く、また今であれば国や地⽅⾃治体が推奨する⼯事となっているため補助⾦(※1)を受けられる場合も多いのです。この窓断熱リフォームについては、こちらのリーフレット(※2)を参考にして頂けたらと思います。

(※1)住宅省エネ2023キャンペーン(国交省等:補助金情報)
https://jutaku-shoene2023.mlit.go.jp/
(※2)窓断熱リフォーム紹介リーフレット「健康と快適は窓から!」(京都府HP)
https://www.pref.kyoto.jp/tikyu/shouenejyuutaku.html
PDFデータはこちら
https://www.pref.kyoto.jp/tikyu/documents/madodannetsu-leaflet.pdf

<家を⾼断熱化することの3つのメリット 健康・光熱費削減・快適!>

窓断熱リフォームや床、壁、天井に断熱材を⼊れることが、何故家族の健康維持と光熱費削減に伴う省エネを実現できるのでしょうか?
⾼断熱化することのメリットとしては、同じ暖房を⾏ったとしても断熱性能の低い家よりも家が暖まりやすいことにあります。
このため、⾼断熱化された住宅では室内の温度を⾼温に保つことが可能です。⾼温に保つことが出来れば様々な健康維持のメリットが出てきます。概ね18℃以上(理想的には20〜22℃以上)であれば以下の効果が望めます。まず、最も顕著な効果としては⾎圧を低く保てる効果があります。これは2020年12⽉に⽇本の研究チームが世界で初めて⽴証した効果で、⾼齢であればあるほど、また⼥性の⽅が効果が⾼いことが分かっています。また、⾼温に保たれた家では健康診断の結果も良くなります。⼼電図異常が減り、総コレステロール数も減ることが分かっています。寒い時期でもコタツの中でじっとしている時間が減り、健康的に活動することが確認されており、この他にも睡眠の質が上がり、夜中にトイレで⽬覚める回数も減ることが確認されています。このように暖かい家では様々な健康メリットが⽴証されているのです。
また、⾼断熱住宅では少ない暖房で家を暖めることが出来るため、光熱費を減らすことが可能です。特に国や⾃治体から推奨されているメリットとして⼤きいのはこの点であり、暖房に掛かる光熱費を減らすことが⼤きな省エネ効果に繋がるため推奨されているのです。
更に、⾼断熱化のメリットとしては暖房だけでは得られない快適性が向上することが挙げられます。⼈間は室温だけで暑さや寒さを感じている訳ではありません。実際には周囲の床、壁、天井や窓からの放射による影響を⼤きく受けています。このため、同じ20℃の室温でも、床、壁、天井や窓が同様に20℃となっている部屋と、床、壁、天井や窓が低い温度となっている部屋では感じる体感温度が違うのです。この快適性は断熱性能が⾼い家で無いと得られない効果なのです。

このように、従来は省エネと⾔えば⽣活上の我慢を強いられるものというイメージがありましたが、より効果の⾼い省エネ⼿法として、住まいの断熱性能を⾒直そうという機運が⾼まってきています。あなたの⽣活の質を上げ、家族の健康を守った上での省エネが推奨されているのです。是⾮、家の⾼断熱化を検討してみて下さい。

 

株式会社住宅みちしるべ
https://www.j-michishirube.com/

太田 周彰 氏
https://researchmap.jp/otan