【特集】石油が止まっても大丈夫?
ホルムズ海峡の封鎖、原油価格高騰と燃料油価格激変緩和補助金、石油備蓄量、ナフサ不足…。
今、日本が直面している事態をどう捉えることができるのか、ひのでやエコライフ研究所の鈴木靖文氏にお聞きしました。
ホルムズ海峡封鎖と石油不足の状況
2026年2月28日の米国によるイラン空爆を契機に紛争(戦争)が勃発しました。イランによるホルムズ海峡の封鎖により、石油タンカーをはじめとする船舶の航行が不可能となりました。日本は輸入原油の9割以上を中東に依存しており、その多くがホルムズ海峡を経由するため、多大な影響を受けました。
当初、タンカー1隻(約200万バレル)の通過が話題となりましたが、これは日本の消費の1日分にも満たない量です。
特に深刻な影響が出たのは石油化学工業です。石油から精製されるナフサは、プラスチックなどの原料となります。このため、プラスチック製品や溶剤の価格が高騰し、深刻な品不足が発生しました。ポテトチップスの包装が(材料不足を見越して)白黒印刷になる、自治体でごみ指定袋が供給できなくなる、建築資材が入らず現場が止まるなど、社会生活の細部にまで混乱が広がりました。
日本の税金による対応と政策の不作為
紛争を受けて世界的にエネルギー価格が高騰する中、日本では税金を用いた補填によってガソリン価格が安定的に維持されました。推計では、本来であれば最高でリッター220円程度に達したはずです。しかし、価格上昇が抑えられたことで、本来期待されるべき消費者の「節約・省エネ行動」が促されませんでした。
また、政府から「省エネの工夫」や「再生可能エネルギー導入」の重要性が語られなかったことも問題です。経済への悪影響を懸念してのことでしょうが、長期的なエネルギー転換の文脈において、国民が危機感を共有し、実効性のある対策を推進できる貴重な機会を逃してしまったといえます。使い捨てプラスチック問題への対応も同様です。
備蓄と省エネ
1970年代のオイルショックの経験から、日本では石油備蓄が行ってきました。政府は3月中に石油備蓄の放出を決定しましたが、実は石油備蓄量は、2000年をピークに減少傾向にあり,ピーク時から2割以上減っていたのが実情です。
ところが、備蓄日数はむしろ増加し、163日から243日に延びています。これは、省エネ設備の普及や再生可能エネルギーへの転換が進み、国内の石油消費量そのものが減少しているためです。この事実はあまり強調されていませんが、リスク耐性を高めてきた重要な成果であり、自信を持つべき点です。化石燃料への依存度を下げることは、こうした社会変動時のリスク軽減に直結します。

停戦合意と今後の展望
米国などからの代替輸入ルートが確保され、供給不安が緩和されつつあった6月末、イランと米国間で停戦合意が成立しました。ホルムズ海峡の航行の自由も盛り込まれており、正常化へ向かっています。ミサイルの応酬が続くなど情勢には不確実性が残るものの、争いの終結を願うばかりです。
石油依存からの脱却へ向けて
今回の事態により、石油が不足した際に社会の各所で深刻な問題が発生することが浮き彫りになりました。今後も同様の不安定要素が続く可能性があり、長期的には「石油を使わない」という制約も強まります。備蓄だけでは限界があるため、本質的な構造改革が不可欠です。
「石油が止まれば社会が止まる」という弱点と、「使い続ければ気候変動で基盤が破壊される」というリスク。今一度、この二重の深刻さを再認識する必要があります。
医療用プラスチックのように「不可欠なもの」と、使い捨てレジ袋のように「なくても済むもの」を峻別し、医療を維持するために過剰包装を見直すといった、現実的かつ前向きな対応が求められます。
この四半世紀に
25年間を四半世紀という言い方がされます。ちょうど人間の1世代に近い単位です。
21世紀の第1四半世紀が過ぎ、第2四半世紀に突入しました。この先の四半世紀は、脱炭素実現を目指す2050年に向けての重要な期間となります。非常にタフな時代となるでしょう。
【確認問題】:( )の中に適切な文字を回答して実行してください。
いつまでもあると思うな( )と( )。
正解者には、持続可能な社会がプレンゼントされます。
(ひのでやエコライフ研究所 鈴木靖文)


