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【臨時号】なぜ2050年までに実質ゼロを目指すのか主役のサポート過去の事業

日本2050ゼロ宣言

なぜ2050年までに実質ゼロを目指すのか

本日(2020年10月26日)、菅首相が所信表明演説で「温室効果ガスの排出量を2050年に実質ゼロにする」という新たな目標を表明されました。

すでにEUやその他の様々な国では同様の目標が掲げられております。また、日本でもこれまでに都道府県や市町村によって「2050年ゼロカーボンシティの表明」などがなされてきました。京都府も2020年2月に知事が宣言をされていますが、これからは日本全体が同じ目標に向かって進むこととなります。

ところで「なぜ2050年までに実質ゼロ」なのか、ご存知でしょうか?

温室効果ガスの排出を減らすのは、早ければ早い方が良いから?
2050年までというと、あと30年以内。それまでに実質ゼロにするには大幅なエネルギー転換が必要となり、現状ではなかなか厳しく感じられる目標です。

しかし、厳しくても2050年までに実質ゼロを目指すには、理由があります。

世界の平均気温上昇を1.5℃までに抑えるためには、
2030年までに、CO2を約45%削減(2010年比)し、2050年頃には実質ゼロにする必要があるからです。

<<知っておきたい! 3つのポイント>>

■「パリ協定」で合意された目標
温暖化対策に関する国際的な枠組み「パリ協定」。2015年12月、COP21で採択されました。
・世界の気温上昇を産業革命前と比べて「2度を十分下回り、できれば1.5度に抑える」という目標が合意されました。(※参考1)

■CO2の総累積排出量と気温上昇幅の関係
・これまで人類が排出してきたCO2の累積量と、世界平均地上気温の変化はおおむね線形関係にあることが分かっています(IPCC第5次評価報告書 第1作業部会)。
・つまり、つまりCO2をたくさん排出すれば、その分、気温上昇につながります。気温上昇を止めようとした場合は、CO2の排出量を実質ゼロにしなければなりません。(※参考2)

・実質ゼロとは…CO2などの温室効果ガス排出量から、森林などで吸収される量を差し引いた値がゼロになることです。

・逆に言うと、例えば気温上昇を1.5℃までに抑えたい場合、「これ以上CO2を排出すると気温上昇1.5℃以上になってしまう」という累積排出量がだいたい分かってきました。これまでにすでに排出した量を差し引くと、目標達成のために今後許される排出量の残りが分かります。カーボン・バジェット=炭素予算と言われることもあります。(※参考3)

■「1.5℃特別報告書」
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2018年10月に発表した報告書です。
・2017年の時点で、すでに地球の平均気温は産業革命前と比べると約1.0℃上昇している
・現在の進行速度では、2030~2050年頃には気温上昇1.5度に達してしまう
・気候変動による「悪影響のリスク」は、1.5℃温暖化した場合大きくなり、2℃温暖化すればさらに大きくなる。
・気温上昇を1.5℃に抑えるためには「2030年までに、2010年と比べて約45%のCO2を削減し、2050年頃には実質ゼロにする必要がある。メタン等の温室効果ガスの排出も大幅に削減される必要がある」(※参考4)

本日、日本の気候変動対策の新目標が打ち出されました。
脱炭素型で、豊かなくらし・豊かな地域づくりを目指して、
これからも更なる気候変動対策を皆さんと進めていきたいと思います。

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※参考1
・2020年以降の枠組み:パリ協定(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html
・国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)及び京都議定書第11回締約国会合(COP/MOP11)の結果について(環境省)
http://www.env.go.jp/earth/cop/cop21/

※参考2
・IPCC第5次評価報告書特設ページ 第1作業部会(科学的根拠)(全国地球温暖化防止活動推進センター)
https://www.jccca.org/ipcc/ar5/wg1.html

※参考3
・カーボン・バジェットとは?(全国地球温暖化防止活動推進センター)
https://www.jccca.org/trend_world/conference_report/cop20/04.html

※参考4
・「地球温暖化対策 なぜ1.5℃未満を目指すのか -IPCC特別報告書を読む」Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20181104-00102886/
・「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「1.5℃特別報告書(*)」の公表(第48回総会の結果)について」環境省
http://www.env.go.jp/press/106052.html
・「IPCC「1.5℃特別報告書」概要」環境省資料(PDF)
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/special_reports/sr1-5c_brief.pdf
・「うぉーみんぐNo.59(2050年にCO2排出ゼロへ 1.5℃特別報告書の持つ意味)」京都府温暖化防止センター(PDF)
https://www.kcfca.or.jp/wp-content/uploads/2019/05/warming59.pdf

 

★京都府は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指しています。
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#京都の人に伝えたい気候変動のはなし
#2050年実質ゼロ