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【特集】体験3:村山修一さん(断熱を重視した建替え)

体験1:山見拓さん(自分たちで断熱リフォーム)
体験2:山本和仁さん(窓、浴槽、天井の断熱改修)
体験3:村山修一さん(断熱を重視して建替え)


■体験3■ 断熱を重視して建替えをした村山修一さん

 

  • 村山さんのこれまでの住宅について教えてください。

亀岡市に住んでいます。四十数年前に中古の戸建て住宅を買いましたが、一昨年に新築へ建て替えをしました。
建て替え前の住宅では、老朽化対策で3回リフォームをしています。

・外壁のモルタルが剝がれてきたので、サイディング(外壁材)で見かけを良くしました。
・ダイニングの壁や床が擦れてきたので、キッチンも含めて新しくしました。
・阪神大震災の後に、瓦は良くないということでスレート屋根に変えました。

しかし、いずれもリフォームというより「修繕」をしてきたという感じでしたし、断熱まで行うことには全く思い至りませんでした。

 

  • 断熱重視の建て替えを決めたきっかけは何ですか?

一言で言えば、還暦を迎えたとき、この先、家の中でヒートショックで死ぬようなことは避けたいという思いからです。

以前の住宅は、40年前の建築状態のままですから、断熱は全くない状態でした。若い頃は、夏は暑いものだからと扇風機だけで乗り切っていました。でも、還暦を迎えたころに、もう無理だと感じました。夏、二階で寝ていたのですが、扇風機が止まると暑さで目が覚めて眠れないのです。測ってみたら、天井の温度は40℃を超えていました。体感温度は気温だけではないので、これは厳しいなと思いました。冬は逆に、お風呂の入る前も出た後もブルブルと震えていました。
もっと高齢になったときのヒートショックを心配していたところ、仕事仲間の先輩が突然風呂で亡くなられたと訃報を聞き、これは他人事ではないと感じました。
さてどうするかと考えたときに、寝室、バス、トイレまで全部暖かくするには、結局、家全体の断熱が最適なのは明らかです。以前の住宅もかなり傷んでいましたので、思い切って建て替えを決心しました。

 

  • どんな断熱対策を取り入れたのですか? ハウスメーカー?

断熱を重視したハウスメーカーは、費用的に手が出せなかったので、地元の工務店に決めました。断熱の基準はあっても、小規模住宅を作る工務店には努力義務しかありません。ということは、それぞれの工務店の力量に任されています。なので、個々に「断熱どうですか?」と聞かないと分からない状態でした。
今回お願いした工務店さんは、「ウレタン遮熱工法」を採用されていました。家をアルミ遮熱シートで全部覆ってしまうというのが特徴です。

ウレタン遮熱工法

 

遮熱とは

 

「断熱材」は、熱を伝えにくくする材料ですが、「遮熱材」は熱を反射して跳ね返すことが出来る材料です。夏に車で使う銀色の遮熱シートを思い浮かべると分かりやすいと思います。保温をするときに使うこともありますね。

今回の施工は、この遮熱材の後ろに発砲ウレタン(=断熱材)を隙間なく吹き付けて作られました。隙間なく吹き付けるため、気密性も上げられます。シンプルな方法なので、ローコストで建築してもらえたんじゃないかなと思っています。工務店さんは多種多様な方法でされるので、一例として見ていただければと思います。

 

  • 気になる断熱の効果はどうでしたか?

昨年の雪の日に、実際に室温を測ってみました。外気温0℃前後のときに、就寝前の室温が17~18℃だったのが、朝には12~13℃ぐらいでした。以前の住宅では、朝に3~5℃だったこともあり、それに比べたら良くなったなあと思っています。

雪の日

冷暖房は、それぞれエアコン1台で家中をしています。
冬は、1階の浴室とリビングの間のエアコンを使います。ヒートショックが怖かったので、この1台で家中全部を暖めます。2階には階段を通って流れていきます。
夏は、2階の通路(各部屋の中心)のエアコンを使い、1階にも冷気がいくようにしています。

エアコン

 

 

  • 今後、リフォームや新築をする方に注目してほしい情報はありますか?

山本さんや山見さんもおっしゃっていましたが、窓が一番大事だと思います。ただ、種類がたくさんでかなり悩むと思います。三層ガラス、樹脂サッシ、など、性能が良いものは値段も高い。
私は、複層ガラスにアルミと樹脂の複合サッシを選びました。これが一番コストパフォーマンスが良いと思ったことと、窓ガラス以外にも対策をすることができると考えたからです。室内なら断熱カーテンや遮熱カーテン、室外ならシャッターや遮熱シェードを付けることができます。
断熱カーテンの効果を見るために、温度を測ってみました。外気温は0℃近くですが、複層ガラスの断熱効果により、内側は14℃ぐらいです。さらに断熱カーテンの前後で4℃ぐらい違うことがわかります。

4度

カーテンは色々なお店でたくさん選ぶことができます。さらに、カーテンボックスを使って側面も上面も覆ってしまうと断熱の効果が上がります。

断熱カーテン

 

カーテン以外にも、ハニカムスクリーンというものを使ってみました。断面がハチの巣状になっていて、非常に断熱性が高くなります。窓枠のサイズを伝えたら、ぴったり合うように作ってくれました。カーテンが合わないところにはこういうのもいいと思います。

ハニカムスクリーン

  • 最後にひとこと

以前、ネットでこんな記事を見つけました。伊香賀教授(慶応大学)という先生の記事で、「冬場に1℃暖かい家に住むと、脳神経が2歳若くなる」。単純計算ではないと思うが、冬の今の室温が5℃暖かくなるということで、脳年齢が10歳若く保てる。当然、認知症の発症も遅くなるでしょう。ということです。
断熱は健康に良いという話ですが、認知症にも良いのかなあ、期待したいなあと思っています。
過去に私がリフォームをしたときは、修繕ばかりで断熱まで思い至らなかった。でもリフォームが必要な時は必ず来ると思います。その時は「ついでに断熱も!」と考えてほしいです。
それから、いろいろな建築メーカーや工務店がありますが、断熱方法は結構多種多様。中にはキラリと光る工務店もあると思うので、そういうところも候補に挙げて検討していただければと思います。

最後に、結露について。以前の住宅では、雑巾で拭かないとどうにもならない状態でしたが、今はほとんど気にしたことがないです。
ただ、亀岡では冬は朝11時まで霧が出ることがあり、家の中で洗濯物を乾かそうとすると湿度が高くなってしまいます。家では、サーキュレーターで急速に乾かしながら、近くの換気扇を回して、早く湿度を外に出すようにしています。ちょっと換気を工夫したらいいと思います。


 

■新築住宅に関する参考情報

『住宅の断熱・気密まるわかりBOOK』

WEB版はこちらからご覧いただけます。

https://danmitsu.kcfca.or.jp/