事業内容

【特集】 実践者から学ぶ「断熱」リフォーム・新築  ~健康で楽しみなが暮らすコツ~

省エネ&健康に効果が期待できる「建物の断熱」。
新築やリフォームの機会は多くないからこそ、チャンスを逃さず必要な対策をしたいですね。
そこで、実際に断熱リフォーム・断熱を重視した新築をされた3名の方に体験談をお伺いしました。
※2021年12月9日に実施したイベントの概要を掲載しています。

体験1:山見拓さん(自分たちで断熱リフォーム)

体験2:山本和仁さん(窓、浴槽、天井の断熱改修)

体験3:村山修一さん(断熱を重視して建替え)


■はじめに■ 住宅の省エネ(断熱)と健康や快適性との関係について

(参考動画)
URL:https://youtu.be/31waUbBtiY8


 

■体験1■ 自分達で断熱リフォームをした山見拓さん

 

  • まず、山見さんのご自宅について教えてください

私は有限会社ひのでやエコライフ研究所で研究員をしています。会社では家庭の省エネ診断のツールづくりなどを業務でやっています。個人でも自分達でできることをDIY的にやっているので、紹介します。

築70年ぐらいの古い町家を改修して住み始め、もう4年ほど経ちます。その町家は10年の間、時が止まっていた空き家でした。家財道具から何から全部ありました。「町家にあった改修をして、快適な暖かく涼しいお家にしたいね。できることをやってみよう」と始めました。置いてあるものを出すところから、なるべく自分達で手を入れて、シェアハウスの他の住民や友達も巻き込んで作業して、時には大工さんに来てもらって行いました。

 

  • どんな改修をされてこられたんですか?

古い町家なので、木造で土壁です。そこで、壁に羊毛断熱をすることにしました。
冬は断熱が大切です。それから、山本さんもおっしゃっていましたが、窓の断熱はとっても大切なので、家のすべての窓に手作りの木枠の内窓を付けました。

 

暖房はペレットストーブを使っています。ひと冬に700kgぐらい(11~3月の5ヵ月間・1日あたり平均4.67kg:1日あたりの費用242円程度)使っています。2階に設置しているので、ペレットの入った袋(10~20kg)を定期的に2階に持って上がります。いまは大丈夫だけど、体がしんどくなるとこの作業は大変かもしれません。

夏は日光を遮りたいので、遮熱のためにブドウを植えてグリーンカーテンにしています。ブドウができて食べられます。ただ、放っておくと毛虫にやられます。葉っぱが食べられておいしいブドウができない。薬はなるべく使いたくないので、毎日トングで毛虫を取りまくってなんとか葉っぱを維持しています。
他にも以下のようなことをしています。

【太陽光パネル】
発電をして、一部はバッテリーの電源にためてオフグリッドで使うということをやったり、中古で買った大きめのパネルは100Vに換えて家庭のコンセントで使えるような形で使ったりしています。使っている電気の100%ではないけど、一部を担ってくれています。

【雨水タンク】
自分たちで色々と付けています。すべてのタンクを合わせたら2トンぐらい貯めています。水やりにも使っていますが、実験的にトイレに流して使うということもしています。屋根に水を撒いたら涼しくなるかなということもやってみました。確かに瓦は冷えるが、室内で涼しさを感じられるほどではなかったです。

【太陽熱温水器】
ちょうど育休を取り、時間ができたので、ヒートルパネルという温水器のキットを使って1日1時間ずつコツコツ作業をして自作しました。春夏秋とお風呂のお湯をイイ感じで温めることができました。寒くなってきた最近でも、10℃ぐらいは温度を上げてくれます。

 

  • 壁の羊毛断熱をDIYでされたことを教えてください。

こちらは住み始める前(改修時)にやりました。
うちは土壁です。土壁というのは、水分を含めて呼吸をしています。色々と調べた中で、羊毛が一番吸放湿性も良いし自然素材なので、相性が良いと思い、これにしました。
聞いた話なのですが、万が一、水害があったり雨漏りとかで水に濡れてしまっても、干して乾かせばまた使えるらしいんです。自然素材だし、劣化して使えなくなるまで繰り返し使えるのは面白いと思いました。

 

 

羊毛の断熱材はロール状になっています。このロールの幅に合わせて大工さんに枠を組んでもらいました(このロール幅は他の一般的な断熱材と同じ幅)。その後、自分達で必要な長さにロールをハサミでチョキチョキと切って、タッカー(大きなホッチキス)でパチパチと端を止めていき、隙間がないようにする作業をしました。
羊毛は100mmと200mmの厚みがあります。100mmを入れた部分が多く、ちょっと寒そうなところは厚い方を入れました。

 

  • 次は、内窓の設置について教えてください。どうやって手作りされたのですか?

木製の内窓は、住み始めた後に設置しました。

とても窓が多い家で、大きい窓も多いんです。一度、山本さんのお話にもあったスペーシアの見積をしましたが、全ての窓をするには値段が高すぎる。そこで、木枠を作り、ポリカーボネートという中空の板を入れて内窓を作りました。
ちゃんとスライドができるようにレール用の溝は材木屋さんに加工してもらいました。4mの加工済みの長い木材を購入して、窓枠の長さを測って線を引く人、それを切る人、くみ上げる人というように、分担作業をしました。工場みたいな感じでどんどん作りました。
微妙にずれたりいがんだりするので、最後は現場でカンナをかけたり調整したりは必要でした。

断熱性能について調べました。うちでは、普通のガラス窓に、4mmの中空ポリカーボネートを入れた木枠内窓の二重を合わせると、熱の出入りのしやすさは計算上3ぐらいです。これは普通のペアガラス窓と同じぐらいの性能です。当初の一枚ガラス窓だけだと6なので、熱の出入りは半分ぐらいになり、逃げにくくなりました(数字は熱貫流率[W/(m2・K)])。

設置後、一つトラブルがありました。杉を使ったので、時間が経って木材が乾燥すると縮みます。ポリカーボネートの板は余裕をもってはめたので大丈夫だけど、一部の場所では、木枠ごと内窓が外れてしまいました。
サッシ上下に、細長い角材(割り箸のようなイメージ)を使ってレールにしています。このレールの角材を足して長くすることによって、外れないように工夫しました。

 

 

  • 改修の効果はいかがですか?

ガラス窓の前に座っていても、ヒンヤリしなくなりました。これは内窓だけでなく羊毛断熱も含めての効果だと思いますが、明らかに局所不快的なものは減りました。窓で冷やされた空気が足元に降りてきてスース―するという感じも明らかに減りました。
2階では、ペレットストーブを最初は強めに運転させますが、1時間ぐらいで十分暖かくなるので最低の出力にして温度を維持します。23時ぐらいにストーブをオフにしますが、その時の室温は21℃ぐらい。朝6時頃は、15℃ぐらいになります。
断熱をしていなかったら、もっと冷えて10℃を切る日もあると思いますので、古い町家にしては頑張って熱を保持していると思います。

 

  • 最後に一言

我が家がいま年間でどれぐらいCO2を出しているのかを比較してみました。
日本では2013年の排出量から、2030年までに46%減にすることが目標です。
2013年の京都市3人世帯の電気・ガスのCO2排出量平均は1.24トン。2020年の我が家の電気ガスを見ると、ちょうど46%減ぐらいでした。(2021年10月22日に閣議決定された地球温暖化対策計画では、家庭部門の目標値は66%減)
ただ、電気は良いのですが、うちはガスの使用が平均よりも多い。土鍋でご飯を炊くなど料理で使うガスも多いので、また見直したいなと思っています。(現在小さな子どもがいて毎日お風呂に入るため、給湯に使うガスの量は平均世帯よりも多い可能性があります)
他にも、ペレットストーブは、熱を煙突から出しているからモッタイナイなとか、熱が逃げている場所をサーモカメラで見たりして、例えばお風呂で利用できないかな、DIYで熱回収できないかな、なんてことを楽しんで考えています。
楽しい暮らしをしながらCO2を減らしていくことを、もっとしていきたいなと思っています。

 


 

■体験2■ 窓、浴槽、天井の断熱改修をした山本さん

 

  • まず、山本さんのご自宅について教えてください。

私は現役時代、大手設計事務所で働いており、主にビルの設計に関わっていました。自宅を建てて46年たちますが初めての住宅設計でした。
自宅は、二階建て木造(住居部分)と、三角形のコンクリート造り(来客用リビング部分)がつながっています。}
当時、設計をしたときのポイントは4つでした。

yamamotohouse

  • その頃はまだ温暖化問題の話は全然なかった時代ですが、屋根に太陽熱温水器を付けました。2階のお風呂で温水器のお湯を使い、その下の1階洗濯室で再利用できるようにしました。
  • 当時私は暑さに弱いので、夏に過ごし易くなるよう工夫しました。天井を高くすること。そして、三方向から風が入ってくるようにして、さらに、ジャロジー窓という100%風が入ってくる窓(横に桟が出た細長いガラスを、ブラインドのように開け閉めできる)を採用しました。
  • トップライト(天窓)から光をたくさん取り入れるようにしました。
  • 木造の屋根は陸屋根(平らな屋上屋根)で、学習用の500W風力発電機を設置しました。天体観測などもしたかったので、屋上にも出入りできるようにしました。

その後この4年間で、4回に分けてかなり思い切った改修をしてきました。その中で特に断熱のためにしたのが、「窓」「浴槽」「天井」の改修です。

 

  • コンクリート造り(来客用リビング)の「天井」「窓」改修について

【天井】
こちらは、暑さをしのぎやすくするために、2階まで吹き抜けの天井にして、光を取り入れるために大きなトップライト(天窓)を付けています。しかし、これが計算違いで夏は直射で非常に暑い!
トップライトを複層ガラスにしたいのですが、天井窓は割れると危ないので、網入りガラスのままで改修ができません。
そこで自作でポリ段(ポリカーボネート板)をガラス面にかけて断熱しています。また、夏の直射対策として、京北町の農家から余った障子をもらい、それを加工して自分で取り付けました。山本さん改修工事天井

 

【窓】
また、風がよく通るようにと、大きな掃き出し戸にしました。幅が1.4mの木製ガラス掃き出し戸が4枚、全て引き込めるようにしたので、開口は5.6m開き、実に良く風が通りました。ただし大きいガラス戸は引き出すにはとても重くて常に滑車のメンテナンスが要りました。また冬はガラス面が大きいのでとても寒かったです。
そこでアルミ枠複層ガラスの引き違い戸に改修しました。既存の戸枠に取り付けられるよう大工に工事をしてもらい、窓の開口部は当初5.6mが、今は3.6mになり、さらに引き違いなので半分の1.8mしか開きません。でも断熱ガラスと開口面積が減ったので、冬は暖かく過ごせています。
しかし天井ガラスの断熱性が良くないので、真夏と真冬は、あまり人を呼ばないようにしています。

 

山本さん改修窓

 

  • 二階建て木造の「窓」「天井」改修について

【窓】
キッチン周りの3か所を複層ガラスサッシの窓にしました。

  • キッチンの引き違い窓(110cm×86cm)は、手作りで「うち窓」を作っていたが、複層ガラスサッシに取り替えました。取り付け作業は1時間ぐらいで早く終わりビックリしました。
  • 食堂横のジャロジー窓は、気密性が悪いので上下スライド式複層ガラス窓に取り替えました。
  • キッチンの5mと1mのL字型のジャロジーの出窓も複層ガラス式引き違い窓に取り替えて部屋の断熱が良くなり従来の石油ストーブからエアコンだけで過ごせるようになりました。

取り替えたどのサッシも元の窓枠を残して取り付けしたので、窓の開口が一回り小さくなり窓枠が広くなっています(既存の窓枠を取り外すと外壁との取り合いが難しくなるためです)。

山本さん窓3

山本さん窓2

 

窓をもう一つ改修しています。玄関横に大きなはめ殺しのガラス窓(1m×1.8m厚5mm)があり、これを、スペーシアという日本板硝子社製の厚6.2mm真空ガラスに取り替えました。3mmの2枚のガラスの間に0.2mmの真空層があります。複層ガラスよりもかなり断熱性能が良くて、最近の冷蔵庫も真空断熱を採用していますね。

 

山本さん窓4

【天井内の断熱】

実は陸屋根は雨漏りが起こりやすく今まで2回ほど防水改修工事をしてきましたがメンテナンスが大変でした。そこで今回は、既存の陸屋根の上に、折版(せっぱん。薄い鋼板を折り曲げて耐力を高めた屋根)を被せて二重屋根にし屋根裏が増えました。工事期間は多少かかり足場代も結構しましたが、二重屋根のお蔭で2階の部屋の天井内の断熱が二重になり夏冬とも快適に過ごせるようになりました。また、太陽熱温水器も更新しました。

 

天井内の断熱

 

  • 浴槽の改修

家族の体調のこともあり、当初2階にあった浴槽を1階にしました。
今回採用の断熱浴槽は、とにかく暖かい。お湯は二日経っても冷めずに暖かくてびっくりするほどです。
浴槽の表面が「パール仕上げ」というキラキラしたものになっていて、水を入れるとエメラルドグリーン色になり、とても清潔できれいで気持ちいい。手すりが多いのもびっくりしました。浴槽内だけでなく、浴槽の縁の部分が引っ込んで持つことができ、頭側上部の手すりと、シャワーのスライドバーなど持つところが多くて風呂から出るのに楽で安全です。床のビニールシートも、滑らずに安全で汚れなくて良い設計仕様です。
木の昔の五右衛門風呂、その後のタイル貼り風呂、ユニットバスが出てきて、今は断熱浴槽と比較体験してきましたが、お風呂の進歩はすごいなあと思います。
今回していませんが、ユニット浴室本体で、床・壁・天井が断熱されたものも出ていますね。

浴室改修

給湯は、太陽熱温水器にエコジョーズを組み合わせています。太陽熱のお湯が熱すぎる時は自動的に水を混合してちょうど良い設定温度にしてくれるし、冬に設定温度に足りなければ、エコジョーズが自働的に温水器の湯を温めてくれて非常に便利で省エネです。

 

  • 山本さんが「やって一番良かった改修」は何ですか?

お風呂の改修です。足が不自由な妻にとって断熱風呂は大変喜んでもらえました。安全面に配慮が行き届いた浴槽は安心して入ってもらえます。

 

  • 最後に一言

日本の住宅事情は40年ぐらいで建て替えられていますが、アメリカだと70年ぐらい、イギリスだと130年ぐらいと言われています。昔の農家・民家は100年ぐらいもったのですが、住まい方や生活の変化などから、だんだん建て替え寿命が短くなっています。
私の場合、新築(建て替え)するかリフォームするかを迷いながら、できれば次世代に継げるように、今の住まいを残したいと思い、息子が「お父さん、この家を壊すのは勿体ない」と言ったので、予算面から考えて改修することにしました。
実は以前から改修コストの試算をしていて、ざっくりとした割合は、構造2:建築4:設備1ぐらいだと考えて、100年もたせようと思ったら構造以外は手を入れてないといけないと考えていました。
ZEH住宅の新築費は、30坪ほどで1500万~2000万ぐらいはかかりそうです。なので、構造の2以外の「建築4と設備1の分=7分の5」である1200万ぐらいをリフォームに使ってもいいかなと考えています。

そこで、この4年間4回に分けて思い切って840万程の費用をかけて改修しました。また今後もいくつかの改修項目があり、あと350万程かかりそうです。でも、リフォームすることで、新築よりも安く次世代にこの建物を残せれたらと思っています。

「衣食住」を考えると、「食」は毎日食費を使い続けて、最近では飽食と勿体ない生活を。「衣」はファッションの流行情報にのって衣類が多くて使い捨ての消費をしています。それぞれに40年間の消費量を考えると膨大な金額になります。一方で「住」にはどれぐらい費用をかけているでしょうか。
「住」の場合は、一気に支払いをするので高金額に思われますが、それほど多くはありません。
日本人は住まいにもう少し予算を使っても良いのではと思います。断熱対策を施して健康で豊かな住環境で過ごすのが大切に思います。


 

■体験3■ 断熱を重視して建替えをした村山修一さん

 

  • 村山さんのこれまでの住宅について教えてください。

亀岡市に住んでいます。四十数年前に中古の戸建て住宅を買いましたが、一昨年に新築へ建て替えをしました。
建て替え前の住宅では、老朽化対策で3回リフォームをしています。

・外壁のモルタルが剝がれてきたので、サイディング(外壁材)で見かけを良くしました。
・ダイニングの壁や床が擦れてきたので、キッチンも含めて新しくしました。
・阪神大震災の後に、瓦は良くないということでスレート屋根に変えました。

しかし、いずれもリフォームというより「修繕」をしてきたという感じでしたし、断熱まで行うことには全く思い至りませんでした。

 

  • 断熱重視の建て替えを決めたきっかけは何ですか?

一言で言えば、還暦を迎えたとき、この先、家の中でヒートショックで死ぬようなことは避けたいという思いからです。

以前の住宅は、40年前の建築状態のままですから、断熱は全くない状態でした。若い頃は、夏は暑いものだからと扇風機だけで乗り切っていました。でも、還暦を迎えたころに、もう無理だと感じました。夏、二階で寝ていたのですが、扇風機が止まると暑さで目が覚めて眠れないのです。測ってみたら、天井の温度は40℃を超えていました。体感温度は気温だけではないので、これは厳しいなと思いました。冬は逆に、お風呂の入る前も出た後もブルブルと震えていました。
もっと高齢になったときのヒートショックを心配していたところ、仕事仲間の先輩が突然風呂で亡くなられたと訃報を聞き、これは他人事ではないと感じました。
さてどうするかと考えたときに、寝室、バス、トイレまで全部暖かくするには、結局、家全体の断熱が最適なのは明らかです。以前の住宅もかなり傷んでいましたので、思い切って建て替えを決心しました。

 

  • どんな断熱対策を取り入れたのですか? ハウスメーカー?

断熱を重視したハウスメーカーは、費用的に手が出せなかったので、地元の工務店に決めました。断熱の基準はあっても、小規模住宅を作る工務店には努力義務しかありません。ということは、それぞれの工務店の力量に任されています。なので、個々に「断熱どうですか?」と聞かないと分からない状態でした。
今回お願いした工務店さんは、「ウレタン遮熱工法」を採用されていました。家をアルミ遮熱シートで全部覆ってしまうというのが特徴です。

ウレタン遮熱工法

 

遮熱とは

 

「断熱材」は、熱を伝えにくくする材料ですが、「遮熱材」は熱を反射して跳ね返すことが出来る材料です。夏に車で使う銀色の遮熱シートを思い浮かべると分かりやすいと思います。保温をするときに使うこともありますね。

今回の施工は、この遮熱材の後ろに発砲ウレタン(=断熱材)を隙間なく吹き付けて作られました。隙間なく吹き付けるため、気密性も上げられます。シンプルな方法なので、ローコストで建築してもらえたんじゃないかなと思っています。工務店さんは多種多様な方法でされるので、一例として見ていただければと思います。

 

  • 気になる断熱の効果はどうでしたか?

昨年の雪の日に、実際に室温を測ってみました。外気温0℃前後のときに、就寝前の室温が17~18℃だったのが、朝には12~13℃ぐらいでした。以前の住宅では、朝に3~5℃だったこともあり、それに比べたら良くなったなあと思っています。

雪の日

冷暖房は、それぞれエアコン1台で家中をしています。
冬は、1階の浴室とリビングの間のエアコンを使います。ヒートショックが怖かったので、この1台で家中全部を暖めます。2階には階段を通って流れていきます。
夏は、2階の通路(各部屋の中心)のエアコンを使い、1階にも冷気がいくようにしています。

エアコン

 

 

  • 今後、リフォームや新築をする方に注目してほしい情報はありますか?

山本さんや山見さんもおっしゃっていましたが、窓が一番大事だと思います。ただ、種類がたくさんでかなり悩むと思います。三層ガラス、樹脂サッシ、など、性能が良いものは値段も高い。
私は、複層ガラスにアルミと樹脂の複合サッシを選びました。これが一番コストパフォーマンスが良いと思ったことと、窓ガラス以外にも対策をすることができると考えたからです。室内なら断熱カーテンや遮熱カーテン、室外ならシャッターや遮熱シェードを付けることができます。
断熱カーテンの効果を見るために、温度を測ってみました。外気温は0℃近くですが、複層ガラスの断熱効果により、内側は14℃ぐらいです。さらに断熱カーテンの前後で4℃ぐらい違うことがわかります。

4度

カーテンは色々なお店でたくさん選ぶことができます。さらに、カーテンボックスを使って側面も上面も覆ってしまうと断熱の効果が上がります。

断熱カーテン

 

カーテン以外にも、ハニカムスクリーンというものを使ってみました。断面がハチの巣状になっていて、非常に断熱性が高くなります。窓枠のサイズを伝えたら、ぴったり合うように作ってくれました。カーテンが合わないところにはこういうのもいいと思います。

ハニカムスクリーン

  • 最後にひとこと

以前、ネットでこんな記事を見つけました。伊香賀教授(慶応大学)という先生の記事で、「冬場に1℃暖かい家に住むと、脳神経が2歳若くなる」。単純計算ではないと思うが、冬の今の室温が5℃暖かくなるということで、脳年齢が10歳若く保てる。当然、認知症の発症も遅くなるでしょう。ということです。
断熱は健康に良いという話ですが、認知症にも良いのかなあ、期待したいなあと思っています。
過去に私がリフォームをしたときは、修繕ばかりで断熱まで思い至らなかった。でもリフォームが必要な時は必ず来ると思います。その時は「ついでに断熱も!」と考えてほしいです。
それから、いろいろな建築メーカーや工務店がありますが、断熱方法は結構多種多様。中にはキラリと光る工務店もあると思うので、そういうところも候補に挙げて検討していただければと思います。

最後に、結露について。以前の住宅では、雑巾で拭かないとどうにもならない状態でしたが、今はほとんど気にしたことがないです。
ただ、亀岡では冬は朝11時まで霧が出ることがあり、家の中で洗濯物を乾かそうとすると湿度が高くなってしまいます。家では、サーキュレーターで急速に乾かしながら、近くの換気扇を回して、早く湿度を外に出すようにしています。ちょっと換気を工夫したらいいと思います。


 

■新築住宅に関する参考情報

『住宅の断熱・気密まるわかりBOOK』

 

WEB版はこちらからご覧いただけます。

https://danmitsu.kcfca.or.jp/